矯正相談にいくと「抜歯矯正」になる症例です。その場合、糸切り歯の後ろの歯を抜いて、出来たスペースを閉じるように矯正していきます。
口の中を狭くするということが、生体にとってどういうことかを分かっているならば、抜かずに並べてみることが第一選択ではないかと考えています。
チェアータイムにもよりますが、本症例では上顎からワイヤーを装着していきました。
全ての歯が少しずつ動き、徐々にレベルがそろってきています。
矯正期間中は歯並びが大きく乱れることもありますが、あらためて正常に近づけた歯並びに再構成する前段階です。
非抜歯矯正をすると「出っ歯になる」と考える方もいますが、そんなことはありません。
口腔は机のうえで定規で測ったように変化するものではありません。
この矯正はGEAWシステムといって、歯並びを縦にも誘導できる特殊な矯正方法です。
オーストリア咬合学:
ウィーン大学のスラバチェック先生
写真を見てお分かりいただけるように、非抜歯で整えても出っ歯にはなりません。
口腔内容積を狭くすることなく、むしろ治療前に比べて大きな舌スペースを確保することが出来ました。
前歯部分が噛めない、開咬症例です。
こういった症例でもGEAWシステムで無理なく
正常な噛み合わせに誘導することが可能です。
開いた前歯が閉じるまでに要する時間は、早い人で1~2か月で、普通でも2~3ヵ月もあれば閉じます。
矯正期間中から積極的に食事指導おこないます。
前歯を使う食事はどういったものか、どう料理すると前歯を使うのか、などを指導します。
また、口の周りに余計な緊張が残っているとリラップといって後戻りすることもあるので、口腔周辺筋を正常に機能させる指導もおこないます。
当院での成人矯正は非抜歯矯正でおこないます。
口の中、歯の内側には「舌」がありますが、口の中が狭くなると「舌」が後方に押し込まれます。押し込まれた「舌」は気道を狭くしてしまい、特に睡眠時に呼吸環境に悪影響が出ることが考えられます。
歯が正常に並んで作られる口の中のスペースはとても大切なものです。
子どもの口腔育成に関しては「今の子供たちは口の中が狭いんです!」と保育士さんが危機感を訴えていますが、成人の口の中も狭くなると様々な問題が起こることが考えられます。
セカンドオピニオンもご来院ください。
様々な症例について、具体的にお話させていただきます。